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葛飾北斎『絵本彩色通』

弘化5年(1848) 国立国会図書館蔵



イカの漢字は、烏賊と書く。


烏は、カラス。

賊は、そこなう、害する。


つまり、烏を害する魚。


中国の古い書物に、

こんな話が残っている。


イカが海面にぷかりと浮かび、

死んだふりをしている。


そこへカラスが舞い降りる。


餌だと思った、その瞬間。


イカは長い腕でカラスを絡めとり、

海へ引き込んでしまう。


だから、烏賊。


本当にそんなことをするのか。

それは、わからない。


けれど、この話は、

長い時を経て伝えられてきた。


では、読みの「イカ」はどうか。


「いかつい」という言葉から来たとも、

体にある「甲」から来たともいう。


どちらも、定かではない。


漢字には、物語が残った。

読みには、謎が残った。


ちなみに、イカサマは「如何様」。


烏賊とは、何の関係もない。

それがまた、いい。

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