top of page

はつの身のきりうりやア、きりうりやア



歌川広重 『浪花名所図会 順慶町夜見世之図』

江戸後期、制作年不詳 国立国会図書館デジタルコレクション



まぐろには、いろいろな呼び方がありました


まぐろは、時代や土地によって、さまざまな名前で呼ばれていました。

江戸では「まぐろ」。上方では「はつ」や「はつのみ」。


江戸時代の方言辞書『諸国方言物類称呼』には、江戸でいう「まぐろのすきみ」を、畿内では「はつのみ」と呼ぶ、とあります。

『諸国方言物類称呼』は、江戸時代の各地の言葉や呼び名を集めた方言辞書です。


この呼び名が登場するのが、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』です。

『東海道中膝栗毛』は、弥次郎兵衛と喜多八の旅を描いた、江戸時代の人気滑稽本です。


弥次郎兵衛と喜多八が訪れた大坂・順慶町の夜店では、魚や鮓など、さまざまな食べ物が売られていました。


そこに響くのが、

「はつの身のきりうりやア、きりうりやア」

という売り声です。


『改正月令博物筌』は、初網のはしりを昔は珍重したため、この名がついたと説明しています。

『改正月令博物筌』は、季節の行事や動植物、食べ物などを解説した江戸時代の歳時・博物書です。


江戸と上方。同じ魚でも、呼び名が変わる。

名前をたどると、土地ごとの食文化が見えてきます。


← 魚噺へ戻る
bottom of page